【日本語新聞選読】第5回:3月31日
皆さん、おはようございます。
新聞選読の授業です。
天風録
( )に入る適切な言葉を下の語群から選んでください。
①
生命を育んだ「ゆりかご」とも呼ばれる海は、温暖化を引き起こす二酸化炭素を( ① )吸収してくれる。
さらに熱を蓄える機能もあるそうだ。地球がため込む量の9割にも上るから、巨大な「蓄熱槽」(ちくねつそう)といえるかもしれない。
②
かなり熱が溜まったせいか、海水温は上がり続けている。去年は過去最高に達した。
しかも歴代5位までの記録は全て、この5年間が( ② )。
上昇するペースも、30年ほど前に比べると速くなっているから、どこまであがるのか、不安は( ③ )ばかり。
③
世界がこんな状況だから、瀬戸内海の水温上昇も当たり前だろう。呉市音戸町では、この冬の最低水温が過去半世紀で最高になった。
そう聞けば、太平洋岸の暖かい海にすむキンチャクダイが周防大島沖(すおうおおしまおき)で越冬(えっとう)した「異変」も、( ④ )。
④
広島の冬の味覚カキ(牡蠣)への影響も( ⑤ )広がっている。水温上昇で産卵の時期が、例年より1カ月ほど早くなりかねないという。このままだと順調に生育しないのでは…。
心配は尽きない。
蓄熱槽にもきっと限界はあるはず。海の異変に耳を傾け、押し付けた過剰な負担を少しでも軽くできないか、考えてみなければ。ゆりかごがひっくり返ってしまう前に。
【語群】じわり じっとり 集う 募る たっぷり もっと うなずけよう うなずく うなずかせる 占めている 占領している わたっている
質問
1.温暖化の影響を感じますか?
(小さい頃と比べて暑くなったと感じますか?)
2.温暖化によってどんな動物が影響を受けるか知っていますか?
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/286.html
天風録2
①
あれは東日本大震災の翌年だったろうか。東京・赤坂のレストランで、日本での永住生活を始めたドナルド・キーンさんを囲むメディア関係者の集いがあった。
戦時中、海軍の情報将校としてハワイの日本人捕虜収容所(ほりょしゅうようじょ)に勤務していた際の心に響くエピソードを聞いた。
②
戦争末期。捕虜のなかに、マリアナ諸島に派遣された同盟通信の従軍記者がいた。「サイパン特派員の見た玉砕の島」という戦記を残した高橋義樹(たかはしよしき)さんだ。彼はベートーベンを愛していた。
とりわけ交響曲第3番「英雄」を。キーンさんは、音がよく響く収容所のシャワー室で、英雄のレコード・コンサートを開いたのだ。
③
「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓に殉じた日本兵の末路を、その目に焼き付けた高橋さんである。異郷の収容所で、どんな思いであの豪壮で雄大な第一楽章を聴いたのだろう。
戦後捕虜たちと敵国の将校は長く友情を育んだという。指揮者は誰だったのか。キーンさんに音源をお尋ねしなかったことが悔やまれる。
④
「ベートーベンの音楽は、ほかのどの音楽よりも、悩むものの友達であり、ときに慰め手である」。音楽評論家の吉田秀和(よしだひでかず)さんの言葉だ。東京五輪の1年延期が決まった。
この一カ月で世界は変わってしまった。苦悩を突き抜け、歓喜へ至る数々の楽曲を聴いてみようか。今日は1827年に没した楽聖の命日である。
- 「生きて虜囚の辱めを受けず」とはどういうことですか?
- サイパンが玉砕の島とはどういうことですか?
ドナルド・キーン(1922年 - 2019年) は、アメリカ合衆国出身の日本文学者・日本学者。
コロンビア大学名誉教授。 日本文学と日本文化研究の第一人者であり、文芸評論家としても多くの著作がある。 日本文化の欧米への紹介でも数多くの業績がある。
高橋義樹[タカハシヨシキ]
大正6年、島根県に生まれる。昭和16年、日本大学芸術科卒業。在学中、同盟通信社に入社、昭和19年に海軍報道班員兼同盟特派員として従軍、米軍捕虜となる。昭和21年、帰国と同時に共同通信に復職。
岩手日報社ワークシート
岩手日報社のワークシートをやってみましょう。
3番、4番は指名して聞いてみます。
中国のニュースで気になるものを要約してください。
そのニュースに対する感想と共に教えてください。
個別に聞いてみます。